2003-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「青年」

小雨降りしきる中、スコップで野原に穴を掘っている青年の姿をじっと見ている。自分はどこにもいない。

「ひもの先端」

さて、そろそろ寝ようかと立ち上がって蛍光灯のひもをひっぱった。 手のひらの中にちょっと奇妙な感触を感じたけれど、眠かったのでそのまま横になった。 とはいうものの、なかなか寝付けない。目を見開いて真っ暗な天井を背景にひも先端の丸ポッチを眺める…

「風邪薬」

家族でレジャー旅行に出かけた。 水没した小学校の校庭が海水浴場で、教室が温泉に変わっている。 ……だったことは憶えているんだけど、それから先がどうもあやふやである。塩酸ブロムヘキシンやら塩化リゾチームやらが記憶を盗んで逃げたのだろうか。

「冷凍マグロ」

歩いていると道を聞かれた。 「ここらへんは不慣れなので、ちょっとわかりませんね」 と答えると、 「では、これを」と冷凍マグロを渡された。 それは人間の胴体よりもっと大きくて、氷よりももっと冷たい。 こんなものもらってもしかたないし、とにかく重い…

「アルコール」

今日のゆめはありませんでした。

「でけでけ」

真っ白な空間の中にいる。 握ったこぶしを頭上に掲げて、何かをノックするかのように両手ででけでけする。 ふと見上げると、ちょうどこぶしが当たるあたりの高さに赤ちゃんが浮かんでいる。 でけでけしたこぶしに赤ちゃんのおなかの柔らかい感触が伝わってき…

「びっしりネズミ」

名鉄急行に揺られている。 この車両はずいぶんがらがらで、向かいの座席に座っているおばさん二人とぼく以外には誰も乗っていない。 がたんごとん、がたんごとん、という単調な揺れに身を任せて眠ってしまおうかと思うのだけれど、おばさんたちの会話がかし…

「下駄箱湯」

てぬぐいと洗面器を抱えて近所の高校に向かう。 部活に入ってない生徒たちがちょうど帰宅する時間で、失敗したかな、と思うけれど、まあ、しかたがない。 下駄箱の横に手をかけて、一気にスライドさせる。そこには番台があって、400円払って中に入る。 脱衣…

「消去法」

四方が書架で埋め尽くされた部屋の中で調べ物をしている。 部屋の中央には下に降りるための階段がある。どうやら、ここは屋根裏を書庫として改造した部屋のようだ。 天窓からの明かりを頼りに辞典のページをたぐる。どうやら、自分は殺人事件の捜査をしてい…

「ぼくの蜘蛛」

北へと向かう船の中。 ペットの蜘蛛を連れている。 目の前に浮かぶぼくの蜘蛛は口から糸を吐き出すと、ぐるぐると渦を巻き、風船のような巣を作る。 巣の中心あたりにいるはずの蜘蛛は何重にも編まれた細い糸の向こうで、もう姿は見えない。 ぼくは大喜びし…

「飛行機事故」

飛行機事故の現場にいる。 草原の陰から、半ば炭化した人間の下半身だけがにゅっと突き出ていてぎょっとする。 膝のところから崩れ落ちていて、そこから煙の筋がニ三本たなびいてるのが見える。男か女かもわからない。 よくみると、まっくろに焦げた腿と腿の…