「ひもの先端」

さて、そろそろ寝ようかと立ち上がって蛍光灯のひもをひっぱった。
手のひらの中にちょっと奇妙な感触を感じたけれど、眠かったのでそのまま横になった。
とはいうものの、なかなか寝付けない。目を見開いて真っ暗な天井を背景にひも先端の丸ポッチを眺める。
この球体には夜光塗料が塗ってあって、闇の中で緑がかった白色に光る。
ぼおっと輝く球体はゆっくりと小刻みに揺れはじめ、8の字を描くように回転をはじめた。それはミツバチのダンスにも似ていた。