「飛行機事故」

 飛行機事故の現場にいる。
 草原の陰から、半ば炭化した人間の下半身だけがにゅっと突き出ていてぎょっとする。
 膝のところから崩れ落ちていて、そこから煙の筋がニ三本たなびいてるのが見える。男か女かもわからない。
 よくみると、まっくろに焦げた腿と腿の間に何か鈍く光るものがある。
「あちち、あちち」と、指でつまんでとりだすと、それは煤にまみれた百円硬貨だった。何枚も何枚もはさまっている。よくみると、五百円硬貨も混じっていて、「これは得したな」とうれしくなる。十円玉だと、がっかりする。