「棒をさがす」

棒をさがしていた。
その棒はしゃべる棒で、いつも皮肉混じりの口調であーだこーだわめきたてるのだった。
あまりに口が悪く、ブチ折って火にくべてやろうととさえいつも思うが、金属でできていてちょっと焦げ目がつくだけだし、熱さもとくに感じないようなのでつまらない。そのかわり、ところどころ凹んでボコボコになっている。
そんな、自分では歩けるはずもない、棒が昨日からどこかにいってしまってないのである。
公園や校庭など、棒がありそうな場所をさがす。
棒を求めて彷徨っているうちにいきなり掃除がしたくなる。
近くの民家でホウキを借りることにした。
ものはついでで、人のよさそうなその家の主人に、
「ヘンな棒をみませんでしたか、うるさいヤツです」
と尋ねると、
「アンタが手に持っとるソレだよ、ソレ」
と言われた。
ホウキの柄は棒だった。ノイズ混じりの音声でしゃべりだす。
「気づかないんだもんな―――、冷たいですよ、冷たい」
ほっとする半面、無性に腹が立ったので、家に帰ってボコボコにした。

(ガラクシのノーマッドそのままですね。恥ずかしい)