山田風太郎『明治断頭台』
- 作者: 山田風太郎
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1997/08/01
- メディア: 文庫
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時は明治初期。不正を働く役人を弾劾するため設立された監察機関・弾正台(Wikipedia)。その大巡察に任ぜられた香月経四郎と川路利良のふたりは怪事件に次々と遭遇する。
香月経四郎が罪人を処刑するためにフランスから取り寄せたのがギロチン。よって明治「弾正台」ならぬ明治「断頭台」という地口タイトルなんですが、すさまじいのはそれだけにあらず。
香月を慕う死刑執行人の娘エスメラルダがパリからくっついてきて、巫女装束で踊りだし、被害者の霊を口寄せして事件の真相を解明するのです。「……オレハ、シヌマデ、オレガナゼシンダノカワカラナカッタガ、イマヤット、ソノワケガワカッタ」どんなだ!!
ホール下に転がる胴斬りにされた死体(「怪談築地ホテル館」)など個々の話も趣向盛り沢山でたいへん楽しいんですが、最終話となる「正義の政府はあり得るか」であらわになる真相の衝撃たるや! 笑われるかもしれませんが、ちょっと涙ぐんでしまいました。トンデモかと思われた個々の要素が終わってみればすべて必然に感じられる。こういうのがミステリの醍醐味となんだろな、と思います。