僕の考えるブログ文章術 第8回:きみの世界とぼくの世界は同じじゃない

mhk2006-03-13

米光一成さんの連載「ブログ文章術」:http://blog.excite.co.jp/blog-jutsu/979930/

前回のエントリ内で、id:manameさんを、namameさんと誤表記しておりました(現在は訂正済みです)。謹んでお詫び申し上げます。ウェブ拍手にてご指摘くださった方に感謝。

他人の目

「いや。信じてくれたまえ、スミルノフ。あれはそれ以上のものだ。ちがった目で見た世界はもうおなじ世界ですらないかもしれんぞ。ぼくはこう考えている。われわれが一つと見なしているものは、実は数十億のちがった宇宙で、どれもたった一人の目に合わせて作られているのかもしれない、とね」
R・A・ラファティ「他人の目」(短編集『九百人のお祖母さん』ISBN:4150107572

SFホラ吹き爺さんR・A・ラファティの作品に「他人の目」という短編があります。
「自分の見る世界と他人の見ている世界とはまるで異なるのでは?」という奇妙なアイデアに囚われた科学者が、二人の人間の脳を同期的に接続し、他者の目を通じて世界を眺められるようにするというお話です。
科学者コグスワースは、同僚スミルノフの目を通して見た世界に驚嘆します。スミルノフの世界は、コグスワースの世界より大きな広がりを持ち、すべてが生き生きとしていたのです。ここには一人の阿呆もいません。スミルノフの目には、コグスワースが阿呆だとみなす男ドツルが、実に威風堂々と映っていたのです。
「これは霊感に満ちた、神に近い巨人の目だ」コグスワースは感嘆します。

その後、コグスワースは、研究所の代表者、理論数学者、口八丁手八丁の実務屋、高名な心理学者、懐疑家で冷徹な批評家、美と魅力を兼ね備えた女性を実験台に、合計7つの脳をスキャンします。

他人の目で世界を眺めた結果、コグスワースがどのような結論に至ったかをここに書くのは控えましょう。『九百人のお祖母さん』はたいへんたいへん面白い短編集なのですが、入手困難。諸行無常の響きあり。どこかで探して読んでみてください。

きみのネットとぼくのネットは同じじゃない

さて、ここまでは長い長い前振り。ここからは前回からの続きです。
2002年の11月にこんなことを書きました。それから3年と4ヶ月の時を経て思うことは、

  • 革命は起こった。とりあえず自分は負けた
  • 自分とはちがう目でネットを見ている人がすげー増えた

でしょうか。

前者の負け話はともかく、後者については意識する必要がありそうです。何百万、何千万もの「他人の目」の集合がネットであり、唯一絶対のネットがあるわけではないのです。僕が当然のものと了解しているネット観は他の人間にとってはなんのことやらさっぱりなものなのかもしれません。
いみじくも「ブログ文章術」を名乗る以上、「自分の見ているネット」をどこかで示しておく必要がありそうです。

ぼくのみているmixi

  • マイミク数:77人(2006/03/14現在)
    • アクティブに発言する人間が100人くらいまでならば対応できる気がします。
  • 日記の公開範囲:友人の友人まで
    • マイミクではないけれど定期的に読みに来る人が20人くらいいるはず。
  • マイミク分布:SF / ミステリ / ライター&書評家 / 編集者 / 麻雀仲間 / 趣味の合う友人
    • 本業関係の人がまったくいないあたりがポイント。
  • 日記の内容:日常日記 / ウェブネタ / ニュースネタ / 読書日記 / テレビネタ / 家庭ネタ
    • プライベートっぽい内容・ネタに対する脊髄反射的な反応・きちんと考えないままのアイデアメモについてはこっち。
  • 情報公開レベル:現住所(○△区レベルまで)・出身地(○△市レベルまで)・誕生日を友人の友人まで公開。血液型・趣味は全体公開。
    • 日記を読めば、最寄り駅はどこかがわかるレベル。そういえば、年齢すらはっきりとは公開してない気も。

まずはmixiのほうから。ブログ(サイト)掲載に値しないレベルの小ネタ、広がりを持たせると逆に弊害がおきそうなプライベートな事柄についてこちらで書いてます。
無論、SNSだから、内輪だからといって、なんでも書けるわけではありません。3〜4年前ならばウェブで書けた内容を推敲なしで載せているのがmixi日記というのが現在の個人的な感覚です。
結婚式に代表されるきわめて個人的なイベントのレポート(新年会レベルも)、比較的規模がこじんまりとしたコンベンションのレポートについては書くのに気を使います。(即売会については性質上書きやすい。SF大会は書ける。京フェスSFセミナーMYSCONについては合宿企画の部分がちょっと書きにくい)
個人名をばんばん挙げてのレポートはもはやウェブ上に置けないものとなっている気すらします。

……とここまで書いたところで、続きは次回に。