鈴木剛介『自殺同盟軍』 Amazon


柔道、少林寺拳法と続けてきた肉体派の主人公が実は自傷癖の持ち主で、旧友のジョーンズ博士(あだ名)に言われてプロボクサー→老人ホームに勤務、という筆者自身の体験をなぞる前半パートは面白いんですが、ネットで自殺志願者を募ってという後半パートに入るとうーむ。筆者ページのメイキング読むと自殺に関しても実体験に基づいてるそうで、非常に書きにくいのですが、自ら死を選択するということについてもっと突き詰めてほしい気もします(シリアスに書けといってるわけではありません)。同盟軍、最後の晩餐がエバラのキムチ鍋とか、そういう庶民的なリアル描写は悪くないと思うんですが……。このラストで読者は救われるのかな? よくわからないのですよ。