オンライン文芸マガジン『回廊』vol.04

http://under-ground.hp.infoseek.co.jp/
秋山真琴さんが編集長を務める創作系オンライン同人誌。
http://d.hatena.ne.jp/mhk/20050421#p2
の続き。

  • 恵久地健一「シーメール・クローニング」
    • え、えー! そ、そんなんでいいの……!? いちおうフォローはしてあるものの、どう考えても地獄だと思う。「性同一性障害で苦しむ人のために、性を転換した自身のクローンを提供する」というアイデアのSFなのだが、それで問題が解決するとはぜんぜん思えない、というか、作者の人はそれでなんとかなると思っているのか、本当に。シリアスな話かと思いきや、全体の印象はオフビート(表現も展開もズレっぱなし)。「あー」とか「んー」とか「いやー」とか、多すぎる。しかし、ありえないお話である。
  • 遥彼方「午前二時の使者」
    • 「明日までに50枚の評論原稿」「現在は白紙」「10枚書いたら書くこと尽きた」「ほとんど興味ない分野で書きたいことなんて最初からない」ひ、ひえー。小説ならともかく、この仕事でミューズを待ったらいかんだろう。コンビニって昼夜の境界が消失した、ずっと続いてる空間だと思うんですが、ちがうのかなあ。
  • 星野慎吾「川のほとりのパーバーション」
    • 文章表現に工夫を凝らそうという姿勢は評価できるが、

「カーテンを開けていたからだろうか、部屋に充満していた光る埃の群れは、窓越しの冷気によって冷やされ、再びフローリングの床に腰を落ち着け、眠りにつこうとしていた」
「彼は二ヶ月前散髪した髪の毛に手をあてたり、横になったまま形だけのストレッチをして、至極興味の無い動作をもてあそび、完全に夜が訪れるまでの時間、夢うつつを楽しもうと思っているのであった」
「彼女は大学の同輩で、年齢においては浪人を経験している俊二よりも一つ年下であったが、才能に年齢は関係ないのだいうどこかで聞き腐った科白を、今一度陽の元に呼び覚ます機会があるとすれば、彼女の作品を読んだこの瞬間なのだろうという思いが胸を独占した」
「水晶体が感光触媒のように、周囲の風景をその刹那だけ切り取り、青とも赤とも区別のつかないぼやけた線で、景色を曖昧にさせる」

意味不明になっているだけだ。うーむ。ストーリーにさして重要ではない部分なのだから、もっと普通に書いてもよいと思う。

  • キセン(原案:元)「聞いて、聞いて!」
    • 文章は手馴れている。が、内容は、うーむ……。細かい指摘になるが、行頭一文字空けが徹底されていない。

  • 丼原ザ★ボン「春を愛する人
    • 書けばいいというものでもない。

コラム

  • ていこく「ゲーム制作講座」第4回
    • 第1回から通して読んだ。実際にゲームを作ってみせたほうがいいんじゃないかなあ。どこレベルを目指しているのかいまいち不明瞭で具体性に欠ける。「ゲーム」という括りがそもそも漠然としすぎなのだ。第3回の内容はかなりびっくりした。
  • 札斬蒼龍「USE YOUR ILLUSION II」
    • ボツにすべき。
  • 恵久地健一「出版業界におけるDTPのアレ」
    • べつに載せなくてもよいだろう。
  • 星野慎吾「春は何の季節でしょう。」
    • ……えーと。
  • 遥彼方「旧式ラジオ」
    • 普通。
  • 踝祐吾「積読にいたる病」
    • 他人に読ませるならば、最低これぐらいの芸が必要だろう。
  • キセン「虫のいたずら」
    • それなりに芸はあるが、ちょっと足りない。