「チョコエッグ」

競艇選手と話している。
一見、大きな文房具売り場のフロアみたいなところに自分たちはいて、何人もの競艇選手たちが作業をしている。
鉛筆や消しゴムがならぶ棚がいくつもあって、競艇選手はそこでめぼしいものを物色すると、自分の持ち場に帰って作業を続ける。
いっしょに話していた選手が急に
「そうだ」
と、呟くと、駆け出していった。
なんとなく追いかけていく。
着いたところはチョコエッグ棚ともいうべきところで、文房具が置いてあるはずの場所にむきだしのチョコエッグが何百個も並べてある。銀紙すらついていない。
天井の明かりをつかって中味を透かしみようとしたり、軽く指先ではじいて音を確かめたりしながら、競艇選手はふたつみっつチョコエッグを選んだ。
自分の持ち場へと取って返す。
選んだチョコエッグを、ペラ(プロペラ)叩き用の金づちで叩いてみると、中には何にも入っていない。
満足げな顔をしていた。

競艇した事はいちどもありません