コミダス キーワードで学ぶ現代マンガの基礎知識 No.01-2: メイド





http://blog.excite.co.jp/mangaword/4878537

森薫さんインタビューの第2回。「『エマ』のできるまで」と題して、デビュー前後の様子から意外な『エマ』元ネタまで、いろいろお話を伺ってきました。かなりぶっちゃけインタビューになってきた気がしますが、大丈夫でしょうか?


エマ (7) (Beam comix)

エマ (7) (Beam comix)

桐生祐狩『川を覆う闇』

川を覆う闇 (角川ホラー文庫)

川を覆う闇 (角川ホラー文庫)

なぜそんなふうに書くのか、さっぱりわからない人は世にいるもので、桐生祐狩もそんな人。
失踪女性の捜索依頼を受けた警備会社勤務の土岐は、手がかりを捜す為女性の部屋を訪れた。部屋の中はゴミ、ゴミ、ゴミの山。腐敗した生ゴミとインスタント食品のカップ類、腐汁に漬かった雑誌と本が堆積層をなし、天井まで届かんとする、想像を絶するゴミの部屋だった。そしてその頃、土岐のオカルト同人仲間は川べりで奇妙なものを見つける。それは蜂の巣に似たコロニーの中に暮らす、全身に不潔さをたたえた、黒く、ぞろりとした正体不明のもの。人のかたちはしているが顔はなく、顔があるべき場所にあるのはただ底なしの闇。
この世のものとはとても思えない「世界穢」を見つけた住人たちは「ホームレスが進化したものかも」と珍説を打ちたて、ひとりの登場人物に「あれは観念的な不潔さが実体を持ったものだ」と言われあっさり納得する(!)。ストーリーの超展開とトンデモ理論の瞬間肯定、これこそが桐生祐狩作品の真骨頂である。(ちなみに、桐生祐狩は古くからのと学会会員)
「片付けられない女」捜しに端を発した物語が、暴走に次ぐ暴走の果てにいかなる地平に達するか、それは実際に読んで目にしてほしい。「不浄の創世記」とでも形容しようか、とにかく奇妙奇天烈な物語である。
ここには吐き気を催す描写しかない。本当にない。よって(いわゆる)普通の人々には勧めがたい。しかし、ゴミと汚物にまみれた物語がいつしか崇高の域に達する様を目撃したい方は勇気を奮って手にとってみるとよい。既成の倫理観を焼き討ちし、異形の倫理が凱歌を上げる様を見届けること、それこそがホラーなるジャンル作品を読む醍醐味のひとつなのだと強く強く思うのである。

表紙装画は父親殺しの画家・リチャード・ダッド(Richard Dadd)の作品「フェアリー・フェラーの神技」。ぴったりである。

NESCAFE Sparkling Cafe


http://jp.nescafe.com/product/can/sparklingcafe.htm
いままで飲んだ炭酸コーヒー商品の中ではわりと飲めるほう。甘すぎることをのぞけば微炭酸でそんなに悪くない。が、リピーターとなるほどの中毒性もない気もする。激マズ飲料の定番になるくらいのインパクトがあったほうが戦略的にはよかったかもしれないが、そういう狙いの商品でもないのかなあ。しかし、炭酸とコーヒーが幸福な出会いするなんてこと、本当にあるのだろうか? 普通の缶コーヒーのつもりでいるとあふれ出してビックリする。

田中哲弥『ミッションスクール』

ミッションスクール (ハヤカワ文庫JA)

ミッションスクール (ハヤカワ文庫JA)

田中哲弥7年ぶりの新刊は、ミッション系の学園を舞台に、なにやらとんでもないことがおこる、という連作短篇集。
シュールでとぼけたやりとりと予想するのが面倒くさくなる突拍子もない展開により、物語の意味はどんどん弾けていく。表題作「ミッションスクール」は、なぜか国際紛争が繰り広げられている学園を舞台に、国連諜報員の吹石雄作と彼のクラスメイトでありMI6の秘密諜報員でもある美少女・山岸香織のふたりがイラク軍のテロ活動を阻止するための極秘任務を開始する……というスパイ戦なわけであるが、これをスパイ戦と呼んだら怒る人間も多そうだ。「あたし生理はじまっちゃった!」バボーン! と発動する超能力ホラー「ポルターガイスト」、失われた備品の追加を求め、総務部を目指す美術部員たちの伝説「ステイショナリー・クエスト」、アメコミ風超人バトル「フォクシーガール」、沈んでいく学園を舞台に展開するシュールなシュールなパニック純愛ロマンス「スクーリング・インフェルノ」、どれもたいがいにしたほうがいいお話であり、読者は田中哲弥との真剣勝負を強いられる。「お前はどこまでついてこれるのか?」である。読む順番は関係ないので、「ミッションスクール」→「ステイショナリー・クエスト」→「フォクシーガール」→「ポルターガイスト」→「スクーリング・インフェルノ」の順で読むとなんとかなりやすい気もする。(なんとかってなんだろう?)
ポルターガイスト」は掲載誌電撃Hpの読者アンケートでダントツ一番嫌いな作品に選ばれ死ねとまで言われたと巻末あとがきには書いてあるけれど、さもありなんであろう。少年少女にこんなものを読ますな。書き下ろし最終話「スクーリング・インフェルノ」のねじれた悪夢展開はひどすぎるが、素晴らしい。

コミダス キーワードで学ぶ現代マンガの基礎知識





http://blog.excite.co.jp/mangaword/4792902

ということで、新連載はじまりました。1つめのキーワードは「メイド」。
「メイド」ならばこの人しかいない! 『エマ』完結巻が本日発売の森薫さんにインタビューさせていただきました。『エマ』について、漫画家としての森薫について、そしてヴィクトリア朝から現代に至るメイド文化について、あれこれ訊いてまいりました。全5回、森薫さんのインタビュー記事としてはたぶん最長だと思います。
毎週木曜、週一更新なんでよろしくお願いしまーす。

エマ (7) (Beam comix)

エマ (7) (Beam comix)

ヲタ漫画経験値(200人版)

http://ippo.itbdns.com/test/rails/wotaexp/ggraph
はてなtypekeyにアカウントある方は、hatena-login/typekey-login → ヲタ漫画 → 投稿でたぶん大丈夫。これでダメな場合は login → Register for an account でアカウントを取得。で、上と同じく ヲタ漫画 → 投稿 でチェックしていけばオッケー。

× ( 2 )
○ ( 25 )
◎ ( 173 )

369点

早坂未紀と八房龍之助のふたりは読んでません。1,2冊買ったことはあっても代表作は結局読まずじまいだったりして、数だけ稼いでますね。途中で読むのやめちゃった連載も多い。

杉浦茂唐沢なをきのパロディじゃなくて読んだはず。

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ジョナサン・キャロル(訳:浅羽莢子)『蜂の巣にキス』

絶賛スランプ中のベストセラー作家サムがまたとないアイデアを思いつく。ミステリアスで奔放で、憧憬の対象だった美少女〈蜂の巣〉――30年前、ぼくは彼女の死体を発見した――彼女の事件を書こう! しかし、サムの愛読者であり、〈蜂の巣〉と同じく謎めいた女性・ヴェロニカの登場を期に、過ぎ去ったはずの過去はサムに牙を剥き始める。
田舎町クレインズ・ヴューを舞台にした新シリーズ。30年前の殺人事件を取材しているうち、いつしか……という過去探しミステリであり、ファンタジー風味は皆無であります。シャーマンのヴェナスクをはじめとするいつもの半レギュラー陣は登場しません。しかし、『死者の書』のマーシャル・フランス作品、『空に浮かぶ子供』の「深夜」シリーズと同様、他人のものだったはずの物語を追い求める主人公がいつしか悪夢の渦中に放り込まれたことに気づく、という構造はキャロルの真骨頂で、今回もぞくりとさせられます。あと、キャロルは細部が素晴らしいんですよね。これはぜひ実際に味わっていただきたいです。
『パニックの手』、『黒いカクテル』の短編集×2も文庫化が決まったようで、やったー!