海堂尊『チーム・バチスタの栄光』

チーム・バチスタの栄光

チーム・バチスタの栄光

第4回『このミステリーがすごい!』大賞、大賞受賞作。
読んだのちょっと前なんですが、書きそびれてました。
ひとりの天才外科医を中心に、バチスタ手術を次々成功させていく奇跡のチームが3回連続で患者を術中死させてしまう。何か原因があるのではないか……? 内部調査に駆り出されたのが患者の愚痴を聴くのが仕事の万年窓際講師、田口だった。
タイトルからピーンとくる方も多いかもしれませんが『医龍ISBN:4091865615 が医療ミステリになったようなお話で、登場人物全員の過不足ないキャラ立てが秀逸。エリート中のエリートである天才外科医と出世コースからさっさと降りた視点人物・田口の対比で読ませる前半だけでも充分面白いんですが、奇人としか思えないもうひとりの探偵役・白鳥が投入される後半になって展開はさらにハチャメチャに。ぐいぐいと読ませます。現役勤務医という経歴を生かしたディテールの細かさにも注目かな。
聞き取り調査が2巡繰り返されるという物語構成はちょっと単調かもしれませんが、それでもこれだけ読ませてしまうエンタテインメントレベルの高さはたいしたもの。このまんまマンガにも映画にもドラマにもできそうです。