アーシュラ・K・ル=グウィン(訳:谷垣暁美)『なつかしく謎めいて』 Amazon


飛行場の固い椅子に腰かけて飛行機(Plane)を待つ女性が偶然発見した、異なる次元(Plane)への移動法により、奇妙な世界にジャンプできるようになった「私」の異世界探訪記。そこにいるのは、沈黙する人々、鳥のように大陸を渡る人々、夢を共有する人々、翼人間、眠らない子ども……。SF,ファンタジーから寓話、奇妙な味、単なるジョークみたいなお話までさまざまに分類できそうな物語が並びますが、世界構築の揺るぎなさにル=グウィンの明晰さがあらわれています。70過ぎでこれを書いたのか。天才ですね。「玉蜀黍の髪の人」、「渡りをする人」、「不死の人の島」がお気に入り。挿画もたいへんすばらしい。