山田正紀『仮面(ペルソナ)』

mhk2005-04-21

ISBN:4344406311
これ読むならば『神狩り2』のほう手に取るだろ、とは思いますが。
クラブの閉店パーティーに集った七人の男女。死に神、魔女、子鬼、オフィーリアなど、思い思いの仮装で最後の夜を楽しもうとしていた。乾杯、の合図とともにグラスを飲み干した一人が倒れた。そして、次々と第二、第三の犠牲者が……。
風水火那子シリーズ。『阿弥陀(パズル)』『風水火那子の冒険』と読んでいるけど、この探偵役はいまだによくつかめません。3年前くらいのかと勘違いしてたら、ノベルスで出たのは98年、けっこう昔のでした。
誰が殺されたのか、すら語られないままに登場人物のひとりが自供して、どのように殺されたのか、が語られないままに密室トリックが暴かれます。ミステリのガジェットを用いて、ぜんぜんちがうものを組み立てているような、そんな奇妙な味わい。道具立ては(ミステリとしては)きわめて普通。文章だって、幻想小説のそれではなく、あくまでミステリのそれ。しかし、展開のすべてがありえません。仮面にまつわるオブセッション(妄想、強迫観念)をミステリの手法を用いて小説化してみた作品でしょうか。なんというのか、へんてこでした。