ジャック・カーリイ(訳:三角和代)『百番目の男』

mhk2005-04-19

ISBN:4167661969
《精神病理・社会病理調査班》所属の若手刑事が連続首切り殺人事件を追う。
トマス・ハリスレクター博士シリーズ(この呼び名でいいんだっけ?)、ジェイムズ・エルロイの諸作品などの読者におすすめ、と帯には書かれてるけど、サイコ・サスペンスというよりはオフビートな警察小説かなあ。問題を抱えた女性検死官の世話をかいがいしく焼いたり、管轄関係なしに異常犯罪を取り扱うPSIT班(構成メンバーは主人公コンビだけ)を目の敵にする上役との対立など、事件の捜査よりも主人公周りの人間関係描写のウェイトが高い。しかしまあ、過去にトラウマを抱えた人間ばかり出てくることだ。
犯人の意図が判明する375ページの一文を読んで、( ゜Д゜)ポカーン 被害者たちのミッシング・リンクや、首切りの理由、局部に刻まれた暗号の意味、すべての謎をこのような動機で処理しますか、と驚きます。これはちょっと前代未聞でしょう。この一文で終わる作りにすれば、バカミスの傑作として世に残ったかもしれないのに、惜しいことです(残ってもうれしくはないかな)。序盤でなかなか話がみえてこなかったり、お世辞にも上手い作りとは思えませんけど、こういうへんてこなのは、嫌いじゃないです。