フレドリック・ブラウン（訳：小西宏）『天使と宇宙船』

ISBN:4488605028
かわいらしい。ひたすらかわいらしい。すばらしい。
結婚を間近にひかえた男が自分の近辺で起こる奇妙な出来事の謎を探る「ミミズ天使」をはじめとする中篇・短編・ショートショート16作を収録。「ミミズ天使」はもちろん名作ですが、そのほかでは「気違い星プラセット」がいいかな。二つの太陽間を８の字軌道を描いて公転する惑星プラセット上で起こる奇妙な効果に地球センターの駐在員部長が苦悩するという物語で、でたらめでワンダーあふれる設定がすばらしー。地表下を鳥が飛んで、そのはばたきでビルが崩れたりする。コントですか。どの作品もほのぼとしたオチがええですね。登場人物たちが暇があると釣りに行ったりするのは時代を感じます。（発行は1954年）
殊能将之『黒い仏』の元ネタのひとつでもある短編「帽子の手品」も収録。