マイケル・マーシャル・スミス『みんな行ってしまう』

mhk2005-09-23

ISBN:448872101X
マイケル・マーシャル・スミスはわけわからん小説書く人だけど、きらいじゃないですよ。なんか好き。

自分の中でジョナサン・キャロルと同じあたりにいる人で、キャロルがファンタジーで処理している部分をスミスは(いちおう)SFアイディアで処理している気がしますね。
共通要素としては、

  • ぶっとんだ世界、悪夢めいたビジョン
  • だいたい「死」にまつわる物語
  • プロットが迷走してわけわかんなくなる
  • 作者が好きな動物が頻出する(キャロルは犬でスミスは猫)

などなど。
でも小説の上手さでいったら、キャロルのほうが断然上で、スミスはもうちょっと上手くなるといいな。訳者の嶋田洋一に解説でダメ出しされてるよ!

医療用ナノテクが人類にえらいことをもたらす「地獄はみずから大きくなった」、この人としては珍しく普通に上手い物語「猫を描いた男」(英国幻想文学対象受賞作)、バカすぎる「ダイエット地獄」、巨大テーマパーク兼養老院を舞台にしたクライム・ストーリーが! な「ワンダー・ワールドの驚異」がわかりやすく面白いです。

それにしても、この装丁はすばらしい。笹井一個やるなあ。