エドワード・ケアリー(訳:古屋美登里)『アルヴァとイルヴァ』

mhk2005-02-22

ISBN:4163234705
『望楼館追想』の人の第2作。引きこもりがちな双子姉妹アルヴァとイルヴァが、ひとりは目となって、ひとりは手となって、彼女たちの暮らすエントラーラの町のプラスチック粘土模型を作り上げるというお話。
長らく積読だったけど、読みはじめたらあっという間でした。これは面白いです。「繊細な工芸品のような長編小説」と帯にはあるけど、そのとおり。スティーヴン・ミルハウザーあたりがいかにも書きそうな、黙々と何かを作り上げていく人間を取り上げながら、感情に訴えるようなところがあるので、読む人を選びません。かなり奇妙なお話なんですが、幻想には傾いていないあたりが面白いかな。
双子の自伝+観光案内という形式を使って、双子の生涯を、そしてエントラーラの町の歴史を描き出すという構成も洗練されてて上手いです。