レディ・ジョーカー

監督：平山秀幸
出演：渡哲也、徳重聡、吉川晃司ほか
http://www.ladyjoker.jp/top/top.html
最終日の最終回で観る。ぎりぎり。高村薫の原作未読で、前知識すらもほとんどゼロのまま臨みました。ファム・ファタールな女が主人公なのかなあ、とか考えてたくらい。
えーと、やはりハードカバー2段組上下刊のボリュームを2時間にまとめようという段階で無理があったとしか思えません。
それぞれ鬱屈した感情を抱えた男たちが〈レディ・ジョーカー〉と名乗り、業界最大手のビール会社社長誘拐を企てる、という物語なんですが、犯行グループ、ビール会社首脳陣、捜査本部とそれぞれの思惑が絡み合うというストーリーを描くには圧倒的に尺が足りない。ひとりひとりを充分に掘り下げる時間がないからか、ひどく漠然としたお話になってます。物語の起点を描かないで想像にまかせるという手法自体は悪くないんですが（原作がそうなのかもしれないけど）残りの承転結が急ぎ足なんで、ただ唐突な印象を受けます。せめて1時間ドラマ1クールくらいかけてやる話だよなあ。
刑事でありながら犯行グループに加わる半田のふてぶてしさは素晴らしい。吉川晃司を見直しました。渡哲也演ずる物井さんはちょっと人が良すぎるかな。もっと、内に怒りを秘めたキャラのほうがよかったのでは。