桜庭一樹『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』

桜庭一樹『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけな

ISBN:4829162767
父親の保険金も使い果たして、収入源は母親のパートと幾ばくかの生活保護だけ、もう一人の家族である兄は絶賛引きこもり中、と苛酷な家庭環境を生きるリアリスト中学生女子と、自分が人魚だと称する不思議ちゃん転校生(芸能人の娘)、ふたりの13歳はそれぞれの生を生き抜こうとしましたが……。
バランスを欠いたエキセントリックな人間ばかり登場して、でもこのラスト以外には着地できないようでもある、不思議な感触。結末についてはあらかじめ明示されているし、そこに至る道筋すらも予見可能なんですが、道筋が見えているがゆえの衝撃性もあります。後戻りできない道を女の子がとことこと。ストレート・トゥ・ヘル。「砂糖菓子の弾丸」「毒素に犯された人魚」、いろいろ素晴らしい。途方もない才能を感じます。